成功の鉄則
- 事前に1億円前後の資金準備(融資+自己資金)
- 自費診療を早期に導入・推進する
- 運転資金として1,000万円前後は必ず確保する
これらを怠ると、せっかくの夢の開業が経営破綻の危機に直面しかねません。
いきなり開業するのではなく、まずはしっかりと自分のライフスタイルに合わせてスタートすることを検討してください。
歯科医院を開業する――これは多くの歯科医師にとって、一つの大きな夢であり、目標です。しかし現実には「お金」という大きな壁があります。
歯科医院の開業には多額の費用がかかり、その内訳や必要資金を正しく把握しておかないと、開業後の経営破綻も起こりかねません。
本稿では、歯科医院の新規開業を目指す方に向けて、実際に必要となるリアルな資金額を徹底解説します。
さらに、多くの開業医が陥りがちな「落とし穴」である保険診療中心の経営リスクと自費診療の重要性についても、具体的にお伝えします。
まず、歯科医院の開業資金は、大きく以下の6つに分けて考えるとわかりやすいです。
これらをすべて合わせると、7,000万円〜1億円超は珍しくありません。以下、順番に詳細を説明します。
歯科医院を開業する場合、多くは賃貸物件です。物件取得にかかる費用は、家賃の6〜12ヶ月分の敷金・保証金+仲介手数料が目安。
例えば、月60万円のテナントなら、保証金(敷金)360万円〜720万円+仲介手数料60万円=約400万円〜800万円です。
内装・設備工事は最も費用がかかる部分です。
清潔感・高級感・バリアフリー対応、個室・半個室などを重視すると、坪単価100万〜150万円はごく一般的。
30坪のクリニックの場合:
さらに電気・給排水・空調・ネット配線など、歯科特有の設備工事も加わります。
診療ユニットは、1台あたり約250万〜500万円が現実的な相場です。
最新型で高機能なものは高額になりますが、最初は標準的な機種で十分です。
250万円 × 3台 = 750万円
(高性能機種を選んでも1,500万円以内に収まるケースが多い)
レントゲン機器はパノラマレントゲンで約500万円〜800万円、CT付きだと1,000万円〜1,500万円。
滅菌器や口腔内カメラ、技工用機器を合わせると300万〜500万円程度が一般的です。
スタッフの採用費は、かつてないほど高騰しています。
Indeed、ジョブメドレーなどのネット求人広告費は、1職種あたり50万〜150万円かかるケースが多いです。
広告費用:250万〜500万円
さらに、開業前に行う院内研修・外部セミナーには100万〜300万円、開業準備期間中の人件費(2〜3ヶ月分)も必要です。
100万〜300万円(事業計画作成、物件選び支援、スタッフ教育支援など)
30万〜50万円
文房具、ユニフォーム、待合室の家電・家具などで50万〜100万円。
項目 | 金額目安 |
---|---|
物件取得費 | 約500万円 |
内装・設備工事費 | 約3,500万円 |
医療設備費 | 約2,500万円 |
採用・人件費 | 約1,000万円 |
IT・広告宣伝費 | 約1,000万円 |
その他費用(コンサル等) | 約400万円 |
合計 | 約8,900万円 |
運転資金(最低 | 500万〜1,000万円 |
約9,000万〜1億円の資金が必要になると考えるのが現実的です。
ここで最も重要な注意点をお伝えします。
多くの開業歯科医師が見落としがちなのが、保険診療の入金サイクルの遅さです。
保険診療の収入は、診療後にレセプトを提出し、審査を経て入金される仕組みです。
つまり、診療月の2ヶ月後に入金されるため、開業直後は資金繰りが非常に厳しくなりやすいのです。
このため、自費診療を早期から取り入れることが、資金繰り安定のカギです。
自費診療は治療後すぐに現金が入るため、保険収入の入金までの資金ギャップを埋める役割を果たします。
開業初期から自費メニューの準備と説明体制を整えておくことが、経営安定への必須条件です。
歯科医院の開業は、
さらに開業後は、保険診療中心の経営では資金ショートの危険性が高いため、必ず自費診療を早期から推進する体制が不可欠です。